用語解説

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ことば図書館

ことばは生きものです。時代とともにいろいろな変化をみせてくれます。そのサイクルが早くなっています。
古いことばがいきなりトレンド最前線に登場したり造語で新しい価値をみごとに表現したり。
そんなことばの解説を分かりやすく、また、あえて理屈っぽくもご紹介します。

スローフード

大量生産、大量流通で食の画一化を進めたファストフードに異を唱え、地元の食材を中心に食し、地域の豊かな伝統的食文化を守ろうとする考え方と運動です。

1986年、イタリア、ローマににマクドナルド第1号店が開店したのをきっかけに、伝統的食文化衰退の危機を感じた人々が「アルチ・ゴーラ」会を発足。

イタリアは20の州に分かれ、どの州も地元の食文化を誇る地産地消の国です。食材や調理法、食べ方に関してファスト(速い)は機械的に画一化され不自然であるとし、スロー(ゆっくり)な自然に立ち戻ろうという運動がイタリア北部のビエモンテ州ブラという町でスローフード運動としてはじまりました。

そして、NPO法人スローフード協会を設立。全世界に向けて「スローフード宣言」を発表しました。

その活動指針として下記の三つが掲げられた。

伝統的な食材や料理、食品、ワインを守る

品質の良い素材を提供する小生産者を守る

子どもたちを含めた生活者に味覚教育を行う

食事くらいはゆっくり食べて、食の楽しみを味わい、その地域の食文化を知り、守ろうという生活に根ざした考え方といえます。それが有機(オーガニック)農業、健康ブームとも重なり世界に広がりました。

日本でも島村菜津氏の著書『スローフードな人生』の出版を機に一般に知られるようになり、2004年10月に正式にスローフードジャパンが設立されました。

ただ運動としてのブームは去り、スローフードということばも、あまり聞かれなくなりました。しかし、その考えは現代でも生きています。むしろ地産池消、地方創生、食育活動など、草の根活動としてより具体的に浸透しているともいえます。

Writer Profile

山口 タカ

大分県佐伯市出身 や組 代表

「オーガニック電話帳」編集・発行人オーガニック、食育の普及をテーマに活動。

人気漫画「美味しんぼ」第101巻“食の安全”をコーディネート。

作中に“有機の水先案内人”として登場。

●オーガニック活動履歴

日本初のオーガニック専門誌「ORgA(オーガ)」(廣済堂出版)を1997年に創刊(〜2000)。

2000年に「オーガニック電話帳」を創刊。現在、改訂第7版。

97年以来、オーガニックの普及をライフワークとして全国の篤農家や食品メーカー、レストランなど日本全国を取材し続け、消費者に向けオーガニック(有機)を広める活動を続けている。

NPO日本オーガニック検査員協会(JOIA)とオーガニックコミュニケーター養成講座テキストを制作。